三十キロ地点書店
店長:サブ4に、あと三分
速い人の話は、テレビがしてくれます。この店で読むのは三十キロを過ぎてから。脚が終わり、歩き、それでも前に足が出た残り十二キロだけを並べました。完走した話より、失速してから何を考えていたかのほうが長く残ります。
素人十人が箱根へ。脚が終わってからが長い
靴を脱いだ民族が、なぜ百キロ走れるのか
中学の駅伝。たすきを渡すまでの六人の内側
十区間を走る側と、沿道で見る側の両方から
速さの理由を、来日した本人に聞きに行く
ブレーキになった区間を、四十年分覚えている
走る理由が切れてから、また前へ出る足
毎日走ると、なぜ三十キロで脚が終わるのか
失速の理由が体の側から書いてある一冊
寄せ集めの学連選抜が、二十キロ先で揃う
四百十五キロを八日で。眠らず走る人たち
走っている間、頭の中で何が起きているか
五十四年かけてゴールした男の、最初の一歩
上巻で止まれる人はいない。残りの区間へ
ロープ一本で、他人の脚と呼吸を預かる
店名の通り。三十キロからの十二キロの作り方
書く人が走り出した。遅いまま毎朝続けた
四十代の漫画家が、ひぃこら言いながら前へ