来年の枝ぶり書店
店長:松の芽摘み、八百本
完成した庭の写真は、観光案内が載せてくれます。この店で読むのは鋏を持った側の手元。どこで切れば来年そこから伸びるか、芽を摘み、草を抜き、苔を剥がさずに掃く。庭は仕上がらないので、手入れをやめた日に終わります。
鋏の持ち方と足の置き場が、写真で分かる
観光では入れない庭を、庭師の目で一巡り
縄の結び方から水やりまで手順だけが並ぶ
明治の植木屋が、何で食べていたかの帳面
いつどこで切るか、その一点だけを説明する本
切り口が塞がる仕組みから、鋏を入れ直す
虫と鳥の居場所を残して、枝だけ落とす
抜く草と残す草を、名前で見分けてから始める
刈り込まずに、木の伸びたい方へ手を貸す
掃くときに、剥がしてはいけない側の話
鉢の中で、何百年分の手入れを引き継ぐ
針金と鋏で、三十年先の枝ぶりを決める人
千年前の指示書にも、石の据え方が書いてある
手を入れすぎない、という手入れの考え方
仕上がらない庭と、そこで暮らした人の記録
草を抜く手が、頭の中まで片づけていく