さじ加減書店
店長:フグ免許、筆記だけ
毒と薬を分けているのは、成分ではなく量です。飲んだ量、盛った量、間違えた量。図鑑も事件記録もミステリも、人がその境目をどう見誤ってきたかだけを並べる店。効いた話より、効きすぎた話のほうがよく残ります。
一株ずつ、効く量と効きすぎる量が並ぶ
同じ野原で夕飯と事故が分かれる
海の生きものが持つ毒を量から数える本
毒と薬の線が引き直された跡をたどる
効きすぎた薬も、ここでは同じ棚の住人
撒いた量が、鳥の声を先に消していく
少量ずつ足された毒が食卓で合流する
量の問題にされた側から書かれた記録
調合を間違えた本人が飲み続ける話
棚の薬瓶がずっと視界の端にある小説
盛られた量より、誰が触れたかを疑う
同じ毒を六人が別々に説明してみせる
毒の出どころが家の中にしかない
毎日の一口で毒を見分ける仕事の物語
混ぜたと言うだけで会社が止まる