二周目書店
店長:読み返し係
一周目の自分を信用しない。読み終えたら、最初のページへ戻る本だけを並べる店。
最後の一語で、読んだ自分まで共犯になる
春の顔をした嘘に、最初から騙されたい
恋の記憶が反転し、冒頭へ走って戻る
語り手の椅子を、二周目だけ疑って読む
挿絵まで伏線だったと、頁を逆にめくる
壊れた夏の景色を、二周目で組み直す
山荘の仮面が落ち、最初の足音へ戻る
六人の履歴書を、二周目は裏から読む
親指の仕掛けを知って、最初の嘘に笑う
親切な説明ほど、二周目では疑わしい
原稿の輪をもう一周し、奪われた名を拾う
二周目は、語り手の顔だけを見て歩く
二本の話がどこで交わるか、頭から数え直す
最終章で全部裏返り、第一話へ手が伸びる
二周目の広辞苑は、まるで違う重さになる
最後の一行のために、また一頁目へ戻される