重力側書店
店長:延期七回、有給ゼロ
打ち上げの十秒前から先は、行った人のものです。この店で読むのは、その手前と、帰ってきたあと。部品を削る町工場、落ちた選抜試験、管制室の徹夜、地上に残った家族。宇宙の話なのに、ほとんどが地面の上で起きています。
絶望より先に、今日やる作業を書き出す
落ちた側の兄が、もう一度地上から始める
宇宙へ行くのは、地上で削られた部品だけ
屋根に登るだけで、地上が宇宙になる夜
選ばれなかった人の顔を、この本は見ている
地上を救う作業を、一人で黙々と積む
月に住む人には、地上の理屈が通らない
窓の外の地球を、一日十六回眺める仕事
宇宙の謎を解くのは、地上の机の上
軌道上の異変を、地上の個人が見つける
月面にも家賃があり、運び屋の稼ぎがある
探査機より、地上で待った七年を読む
火星のクレーターは、夜の教室で作れる
行けない人の側から、月を見上げる短編
帰還の七年間、泣いていたのは管制室
探査機を飛ばしたのは、地上の技術者の夢
北海道の町工場が、本当にロケットを上げた