受け身から書店
店長:耳、両方つぶれてる
道場で最初に教わるのは、投げ方ではなく落ち方でした。殴られ、投げられ、畳に背中を打ちつけた時間だけを並べる店。勝った試合の記録より、受け身を取り損ねた夜のほうが長く残ります。
投げる前に、畳へ落ちる稽古から始まる
抜かれて潰されて、また畳に戻る四年間
視界が半分でも、組み手は続いた
鬼の稽古で、負け方のほうを覚えた男
打撃の男が、組まれて畳を見る瞬間
一度負けた拳が、もう一度リングへ戻る
打たれる側の頭の中を、ずっと聞いている
倒された側だけに聞いて回った取材記
打たれる戦術を選び、その代償も引き受けた
受け身という技術を、真正面から説明する
受け身を取る側から見た、興行という荒野
投げられる仕事に移った、元投手の身体
飛んで落ちる技術に、人生を全部使った人
毎晩落ちて、十代の体を削った二人